煎茶(せんちゃ)
緑茶すなわち不発酵茶の一種であるが、蒸熱により茶葉の酵素を失活させて製造する(蒸す)という点で世界的にも珍しい茶であり、生産、消費ともほぼ日本に限られています。当初の「煎茶」は文字通り「煎じる茶」の意味で、茶葉を湯で煮出すことによって成分を抽出するため今日のように急須で手軽に淹れられるものではありませんでした。中世以降の日本における茶の服用方法には「煎じ茶」と茶葉を臼ですりつぶした「挽茶」があり、当初は摘んだ茶葉を蒸すか湯がくかして酸化酵素の働きを止め日光と「ほいろ」により乾燥させるものだったが、近世には「揉み」の行程が入るようになっていった。現在の煎茶(それまでの煎じ茶とちがい、急須で出せる茶は「だし茶」であるともいわれる)の製法は煎茶の流行とともに普及し、現在の日本茶の主流となっています。